-治頭瘡一方(ぢずそういっぽう)-


治頭瘡一方(ぢずそういっぽう)の効能

体力中等度で、頭部、顔面の湿疹で分泌物が多く発赤、ただれ、かさぶたのある人に用います。わきのした、陰部の湿疹にも使います。治頭瘡一方は昔、胎毒とか、くさという小児の頭の湿疹に用いられました。おもに子どもの湿疹、皮膚炎に用いられます。頭や顔にかさぶたやただれができ、かゆみが強いときに有効です。


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適応される主な症状

  • アトピー性皮膚炎
  • 湿疹

配合生薬

配合生薬の効能

連翹(れんぎょう)

連翹には、解毒、排膿、利尿、消炎、鎮痛作用があります。漢方では化膿性疾患で熱症状があるとき、解熱、消炎、排膿、利尿を目標に処方されます。

有効成分はオレアノール酸、サポニン、フラボノイド配糖体などを含んでおり、果実の水製エキスは黄色ブドウ球菌にも抗菌作用を示します。

とくに腫物の良薬として用いられ、瘰癧(頸部リンパ節の結核)やニキビの治療には定評があります。抗生物質がなかったころは、その煎剤を淋病にも使いました。

民間療法では連翹の果実を煎じ、腫物に服する方法が伝わっています。

蒼朮(そうじゅつ)

朮は体内の水分代謝を正常に保つ作用があり、健胃利尿剤として利用されています。特に胃弱体質の人の下痢によく効き、胃アトニーや慢性胃腸病で、腹が張るとか、冷えによる腹痛を起こした場合などにもいいです。

日本では調製法の違いによって白朮(びやくじゅつ)と蒼朮(そうじゅつ)に分けられます。いずれも同じような効能を示しますが、蒼朮は胃に力のある人の胃腸薬として使い分けられています。

両者の主成分は、精油成分のアトラクチロンと、アトラクチロジンです。ちなみに、白朮には止汗作用があるのに対して、蒼朮は発汗作用を示します。朮は漢方治療では、多くの処方に広く利用される生薬の一つです。

川きゅう(せんきゅう)

川きゅうには補血、強壮、鎮痛、鎮静があります。漢方では貧血、冷え性、生理痛生理不順など婦人科の各種疾患に利用されています。

有効成分のリグスチライドなどのフタライド類に筋弛緩作用や血小板凝集阻害作用が有ります。またクニジリットには、免疫活性作用が認められています。

古い医学書には性病による各種皮膚疾患、化膿性のできもの、疥癬(かいせん)などを治すと記載されています。

防風(ぼうふう)

防風には、発汗、解熱、鎮痛、鎮痙作用があります。 漢方薬で、皮膚疾患薬、消炎俳膿薬、鎮痛薬とみなされる処方に配合され、発汗、解熱、鎮痙などを目標に、感冒による関節痛や頭痛などに使用します。

有効成分は、クマリンやクロモン誘導体、サポシニコバンA~Cなどです。

クマリンには抗ヒスタミン作用やカルシウム拮抗作用、血液凝集抑制作用、発がん抑制作用があり、防風エキスでは、ラットの実験で関節炎を抑制する作用が確認されています。

忍冬(にんどう)

忍冬は解熱、消炎、利尿薬として化膿症や神経痛、リュウマチ、関節炎などに用いられます。腰痛や湿疹、あせもなどに薬湯料としても利用されます。

有効成分フェノール性成分3、4-ジカフェオイルキナ酸に血小板凝固阻害作用や抗酸化作用が認められています。

忍冬(スイカズラ)の花の部分も金銀花(きんぎんか)と称して、同様の目的に用いられています。

荊芥(けいがい)

荊芥には、発汗・解熱作用、消炎作用、止血作があります。単独で使うことは稀で、いろんな漢方製剤に配合されます。適応症状は、感冒や頭痛、鼻炎、扁桃炎、中耳炎、湿疹、慢性皮膚炎、アトピー性皮膚炎などで広く用いられています。

荊芥の場合は他の生薬との配合によって、全体としての薬効を高める生薬といえます。有効成分は精油のメントン、リモネン、プレゴンなどやフラボノイド類も検出されています。

中国では、カゼで熱があり喉が痛いとき、剤芥を煎じて飲む民間療法が普及しています。

甘草(かんぞう)

甘草は漢方治療で緩和、解毒を目的として、いろいろな症状に応用されますが、主として去痰、鎮咳、鎮痛、鎮痙、消炎などです。

有効成分のグリチルリチンには、痰を薄めて排除する作用があり、体内で分解するとグリチルレチン酸となって咳を止めます。

その他、グリチルリチンには多種多様の薬理効果が有り、消炎、抗潰瘍、抗アレルギー作用の他、免疫活性や、肝細胞膜の安定化、肝保護作用、肝障害抑制作用などが明らかにされています。

有効成分イソリクイリチンおよびイソリクイリチゲニンは糖尿病合併症の眼病治療薬として、また胃酸分泌抑制作用もあり胃潰瘍の治療薬として期待されています。

甘草はあまり長期服用しますと、低カリウム血症、血圧上昇、浮腫、体重増加などの副作用が現れることがあるので、注意を要します。

紅花(こうか)

紅花の主な薬効は血流をよくする作用で、漢方治療では婦人病や更年期の血行障害、冷え性、高血圧などに用いられます。

煎液には血流量増加作用がある他、動物実験で、血圧降下作用が認められます。この血圧降下作用は、血圧上昇の原因物質アンジオテンシン変換酵素を阻害することによって起こります。マクロファージの活性化やインターフェロン誘起作用が認められ、免疫活性作用が期待されます。

また、水やアルコール抽出エキスに、抗炎症作用および鎮痛作用が認められる他、マウスのエールリッヒ腹水ガンに対する抑制作用も報告されています。これら作用は主成分である紅色色素のカルタミンやフラボノイドのカルタミジンが関与しているものと、推測されています。

紅花の花や種子中に含まれるリノール酸には、コレステロールの蓄積による動脈硬化症の予防および治療効果があります、このため近年食用油として紅花(ベニバナ)油がよく使われています。

また紅花は昔から記憶力をよくするともいわれていますので、老化にともなう痴呆症にも効果が期待されています。

大黄(だいおう)

大黄は瀉下(下剤)、消炎性健胃薬として、常習性便秘症に使用されます。

ジアンスロン成分であるセンノサイドA-Fに瀉下作用が認められます。センノサイドA-Fは腸内細菌によって強い瀉下活性を示すレインアンスロンに変換されるからです。

フェノール配糖体の一種リンドレインには消炎、鎮痛作用が認められています。またタンニン成分に、血中尿素窒素(BUN)低下作用が報告されていることから、腎不全改善効果も期待されます。

漢方では、特に実証の人(体力がある人)の便秘薬として他の生薬と配合して高い効果をあげていますが、大黄には子宮収縮促進作用や骨盤の充血増長作用があるため、産前、産後や月経期間中は使用しない方がいいです。


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漢方薬の使用上の注意

漢方薬の副作用


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