-爪白せんのパルス(間欠)療法-


爪白せんのパルス(間欠)療法

爪白せんの症状と原因

爪白せんは、水虫の原因になる白せん菌が爪の傷や割れ目から入り込み、爪が黄色に濁って変形する病気です。爪がぼろぼろになって、はがれることもあります。

皮膚科専門医で作る「ジャパン・フット・ウィーク研究会」は、爪白せんの患者は1200万人いると推定しています。国民の10人に1人が、かかっている計算です。長く水虫とつきあってきた中高年層が爪白せんを併発している場合が多いですが、若い年代にも徐々に広がりつつあります。

この病気がなおりにくいのは、水虫用の塗り薬が爪の内側に入りにくく、効かない点です。内服薬で効果のある「塩酸テルビナフィン(商品名・ラミシール)」も出回っていますが、半年以上使わなければ、なりません。かゆみなど自覚症状もないため、放置している人が多いです。

帝京大皮膚科教授の渡辺晋一さんは「爪白せんは、菌をいわば培養している状態です。治療しないと爪から菌が出てきて、家族にもうつすことになります」と話しています。


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イトラコナゾールを使った「パルス療法」

治療には抗菌薬「イトラコナゾール(商品名・イトリゾール)」も広く使われています。カプセルタイプの薬ですが、保険で認められている一日投与鍛は100ミリ・グラムです。これだと毎日飲み続けなければなりません。そこで渡辺さんらは、毎日は服用しなくてもすむ「パルス療法」について、全国30か所の病院で三つの方法を比較テストして、治療期間を大幅に短縮できる手法を確認しました。

パルス療法は、薬の内服を一定期間続けた後に、しばらく休止期をおく治療法です。200人近い爪白せん患者にイトラコナゾールを使い、

(1)1日200ミリ・グラムを一週間服用後、3週間休むパターンを3回 (総投与量4200ミリ・グラム)

(2)(1)と同様で6回(同8400ミリ・グラム)

(3)1日400ミリ・グラムを1週間服用後、3週間休むパターンを3回(同8400ミリ・グラム)

に分け、半年後の爪の濁りなどを比べました。

すると、「一度に薬をたくさん投与、短期間に終わらせる」(3)が、効果が最も高かったです。6%は完治し、「著しい効果」「有効」も加えると約85%に上りました。一方、(1)(2)の効果は、65%前後にとどまりました。

パルス療法は欧米で、安全性が確認されています。国内でも大学病院や地域の基幹病院などで、独自の判断で取り組む医師が増えています。そんな中、詳細なデータ比較はこれが初めてで、最も効果の高い方法はどれか、データを元に明らかにできました。

イトラコナゾールは、体内で分解されない分は爪に運ばれ長くとどまります。そのため、服薬終了後も効果が続きます。パルス療法は、この性質を利用しました。爪の中のイトラコナゾール濃度をみると、(3)では、服用終了から9か月間、白せん菌を殺す十分な量の薬効成分が残り、効果が続いていたのです。

慶応大皮膚科教授の西川武二さんは「副作用もほとんどなく、患者のアンケートでも、7割はこの治療が良いと実感している」と語っています。

爪白せんの診断

爪白せんの診断は、爪の一部を切り取って、顕微鏡での確認と、菌の培養の2通りで行います。「水虫」と見えても、足の皮膚の湿疹(しっしん)であるケースも少なくなく、勝手に水虫と誤解している人は多いです。気になる人は、皮膚科専門医で正確な診断を受けることが、望ましいです。


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関係医療機関

帝京大学病院皮膚科

慶応大学病院皮膚科


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