-早期胃がんの切開はく離法-


早期胃がんの切開はく離法

胃がんの内視鏡治療

胃がんは、胃の内側を覆う粘膜の表面から発生し、胃の壁の深くへと進行する。深さと広がりの程度によって、治療法が決まります。粘膜にとどまる早期のがんは、内視鏡で切除するのが標準的な治療です。口から内視鏡を入れ、先端に着けたワイヤをがんの周囲にかけ、高周波の電流を流して焼き切ります。

日本胃癌学会の胃がん治療指針では、内視鏡による粘膜がんの切除は「ワイヤをかけて一度に切除できる大きさが望ましい」とし、その大きさを2センチ以下としています。

国立がんセンター中央病院内視鏡部の後藤田卓志さんは「がんの取り残しを避けるためがんの周辺にゆとりを取って切り取る必要があるので、ワイヤをかけて切除する方法は、実際には基準よりさらに小さいがんが対象になる」と話します。

大きめのがんは、二、三回に分けて切り取る形になるが、分割して切ると、十人に一人程度は、がんのあった部位周辺に再発します。がんの中にワイヤを差し入れるので、取りこぼしが起こるためです。こうした再発は、手術で取り除けば命にかかわることはないため、分割切除も行われています。

ただ、粘膜にとどまるがんでも大きさが3センチほどになれば、通常は胃の三分の二程度を切除する手術を行います。胃が小さくなり、たくさんは食べられなくなります。


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切開はく離法

この手術を避けるため、国立がんセンター中央病院は、がんが大きめの場合「切開はく離」を行います。ワイヤをかけて分割切除する方法と異なり、ITナイフという電気メスを使い、患部を一括してそぎ取ります。切開はく離を行うことにより、粘膜がんなら大きくても、手術にならずにすむわけです。

同病院で治療を受けた千人を超える患者のうち、これまで再発した人はゼロです。各地の病院でも、優れた治療成績をあげ始めています。

ただ、後藤田さんは「ワイヤで取る方法が15分程度で終わるのに対し、メスでそぎ取るので一時間ぐらいかかる。通常の方法よりも難しいので、習熟が必要」と指摘します。ワイヤを使う場合より、胃に穴を開けたりする危険が高いからです。

胃がんの病理検査

早期胃がんは治る病気ですが、切除後の組織の病理診断で、治療前の予想より進行していたことがわかれば、改めて手術が必要になります。がんにワイヤを入れて分割して切除する方法では、組織が崩れてこの判定が難しくなります。これに対し、一括切除をすると、病理検査によりがんの広がりを正確に調べることができ、診断上も利点があります。


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関係医療機関

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